9.4. データの間引き

いくつかのビームラインでは,スキャンのはじめから終わりまで分光器を連続的に回転するという測定方法を提供しています.この典型的な実装としては,設定されたスピードで分光器を駆動し,測定チャンネルの値を連続的に読み出すという方法です.信号は決まった時間だけ積算されます.それぞれのインターバルの後で,積算された信号はバッファに蓄積されます.スキャンの終わりに,バッファの値がディスクに読み出されます.私が昔いたビームライン (MRCAT, Sector 10 at the APS) ではこのモードで測定された典型的な EXAFS のスキャンはおおよそ3分以下の時間を必要とします.

この測定モードの欠点は(解析しなければならないたくさんのデータが生成されるということを除けば!),広い範囲で測定点が多すぎるということです.エネルギーグリッドは典型的には 0.3 から 0.5 eV です.これは吸収端の領域ではよいですが,EXAFS領域では多すぎます.

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図 9.8 「再サンプリング」ツール

上に示したツールでは,単純に3つの領域に分けたグリッドを設定することができます.典型的には,プレエッジ領域ではエネルギー軸に対して荒く,吸収端の領域では細かく,そして,EXAFS 領域では波数に対して均一に設定します.グリッドのサイズとエネルギー範囲の境界値をそれぞれのボックスに入力します.Plot data and rebinned data ボタンをクリックすることで,再サンプリングの結果を見ることができます.Plot data and rebinned data ボタンをクリックすると,再サンプリング前のバックグラウンド除去パラメータを用いた最サンプリング前後の χ(k) が表示されます.Make rebinned data group ボタンをクリックすると,データの間引き(再サンプリング)が行われ,その結果が新しいグループとして保存されます.このグループはグループリストに配置され,他のグループと同様に扱うことができます.

一連のデータに対してマークをつけておけば,Rebin marked data and make groups ボタンをクリックすることでこの処理をまとめて行うことができます.データをいくつ選択したかにもよりますが,少し時間がかかります.

グリッチ除去アルゴリズムは,列選択ダイアログに出てくる データ間引き機能 と同じものです.

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図 9.9 通常の EXAFS エネルギーグリッドに再サンプリングされた QXAFS データ

設定されたエネルギー間隔に対して測定データを内挿する際には,boxcar 平均が使われます.このため,上図に示すようにかなりノイズの多いデータに対してもよい効果を及ぼします.




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