6.5. k の重みを使ったプロットとフーリエ変換

EXAFS について χ(k) に異なる k の重みを掛けるのは一般的なことです.すなわち,χ(k) の配列は k の配列によって1点ごとにかけ算されます.k1 で重みがつけられたデータの場合,k=5 の χ(k) は 5 倍され,k=10 の χ(k) は 10 倍されます.同様に k2 で重み付けされたデータは,k=5 の χ(k) は 25 倍され,k=10 の χ(k) は 100 倍されます.つまり,k の大きなところでスペクトルを増幅する効果があります.吸収端の後ろではすぐに EXAFS 振動が減衰していくので,k に重みづけは k の高いところの振動を見やすくする方法の1つと言えます.

k の重みを選ぶコツは,振動の大きさを全範囲でおおよそ一定にすることです.このように重み付けを行えば,データの全範囲が同等に寄与することになります.フーリエ変換した時,χ(R) スペクトルは χ(k) の振動構造を反映します.“under-weighted” スペクトルのフーリエ変換は、χ(k) スペクトルの減衰を反映して R の小さな領域にピークが現れるでしょう.

k の重み付けは,χ(k) スペクトルの異なる寄与を強調することにも使われます.酸素や炭素のように原子番号の小さい元素の散乱強度は,k の小さなところに最大値を持ち,k の大きなところでは非常に小さくなります.遷移金属のように重い元素の散乱強度は,k の小さなところでは小さく,k の大きなところでもある程度大きな値を保ちます.Pb あるいは Sn のように非常に重い元素は,k が 5 から 7 Å-1 最も小さな散乱強度を示します.詳細は,私の Ramsauer-Townsend 効果についてのプレゼンテーション を参照して下さい.

χ(k) に加える k の重みを変えることで,χ(k) スペクトルをフーリエ変換するときに,k の低いところあるいは高いところを強調することができます.そうすることで,データをよりよく理解することができるかもしれません.

k の重みは紫色のボタン付近にある 0, 1, 2, 3, kw と書かれたボタンで制御することができます.下図の赤丸で囲ったところです.ここで選択された k の重みは,χ(k) データのプロットやフーリエ変換するときのパラメータとして利用されます.

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図 6.13 スペクトルのプロットとフーリエ変換に使用する k の重みづけの項目

kw とラベルされた k の重み付けボタンは,«arbitrary k-weight» とともに利用されます.kw ボタンが選ばれている時,χ(k) は «arbitrary k-weight» の値で重み付けされます.これは様々なことに利用できます.最も単純な例としては,単なる整数以外の重み付けを行いたい場合です. 異なる k で重み付けされた2つのデータグループを重ね書きしたい場合は,それぞれのグループの «arbitrary k-weight» を設定することができます.




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