4.4. バックグラウンド除去におけるスプライン範囲

バックグラウンド除去の質に大きな影響を与えるパラメータはスプラインの範囲です.デフォルトでは,バックグラウンド関数を近似するためのスプライン関数は,0.5 Å⁻¹ から データの末端までの範囲を利用します.(これらのデフォルト値は,♦Bkg→spl1♦Bkg→spl2 の設定画面で変更することができます.)メインメニューには,スプライン範囲を波数あるいはエネルギーで入力するためのボックスがあります.これらは相互に編集することができ,どちらかの値を変更すると,もう一方も更新されます. プランクボタン を使って値を変更したときも同様です.

スプライン範囲の上限下限を変更してみてください.大きく鋭いホワイトラインをもつデータの場合,μ(E) が急激に変化するところで AUTOBK アルゴリズムがうまく働かないかも知れません.スプラインの範囲をもう少し高いところから始めることでバックグラウンド除去がうまくいくようになるかもしれません. スプライン範囲の効果をテストするよい方法として,データをコピー (Alt-y) して,コピーのスプライン範囲の下限をより大きな値に変更し,k ボタンあるいは R ボタンをクリックして,χ(k) あるいは χ(R) をプロットしてみるとよいでしょう.

k の大きなところでシグナルがとても小さく,k の重みをかけた時に χ(k)データ範囲を大きく超えてしまったり,バックグラウンド関数の形が試料の不均一性やその他の測定上の問題によって不安定だったりする場合には,スプライン範囲の上限を変えるとよい場合が多いです.

下図に,スプライン範囲の上限値を変えた例を示します.

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図 4.25 スプライン範囲の上限値を変えた金箔のデータ

スプライン範囲を変更することによる明らかな影響としては,k の大きなところで見られるように χ(k) がスプライン範囲外で 0 になることです.スプライン範囲の値を変更すると,スペクトルの反対側に対しても影響を及ぼします.これは,k の小さなところで見られます.

うまくバックグラウンド除去するのが難しいデータの解析を行っている場合において,スプライン範囲の変更はちょっとした助けになるかも知れません.




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