3.4. 参照スペクトル (Reference channel)

ATHENA において,参照スペクトルはデータ整列の標準として扱われます.透過法において,試料透過後のX線量を測定するためのイオンチャンバの後ろに3つ目のイオンチャンバを置き,その間によい参照試料を置くことは一般的になされています.標準試料を測定する上でのポイントは,実試料と同時に測定するということです.この標準試料は,データ整列ツール を使って,実データを整列するのに使うことできます.

参照試料として良く使われるのは0価の箔ですが,大事なことは,安定して質の良いデータを出す試料ということです.もう1つ大事なことは,吸収端ごとに,また実験の都度に参照用の標準物質として常に同じ試料を使うことです.放射光施設に実験に行く時は、常に試料の標準試料ライブラリを持って行くのがよいでしょう.ある吸収端においてすべての実験で同じ標準試料を使用していれば,何年も前に測定したデータや異なる放射光施設で測定したデータでも基準をそろえることができます.

../_images/import_ref.png

図 3.12 列選択ダイアログでの参照スペクトルの読み込み

参照チャンネル選択は,同じ軸が使われるためにエネルギー列を改めて選択する必要が無いという点以外は,通常の列選択とほとんど同じです.透過X線量のイオンチャンバの後に参照試料を置いた場合は,参照用チャンネルを分母,透過用チャンネルを分子に選択する必要があります.参照チャンネルの測定のために良く行われる方法として,PIN ダイオードを使って弾性散乱の測定があります.その場合は, I0 が分子で,PIN ダイオードによる検出量が分母です.

正しいチャンネルが選ばれているかを確認するために,Plot reference ボタンを使って,参照試料のスペクトルをプロットすることができます.もし,参照用の標準試料が実試料とは異なる吸収端をもつ元素のときは, Same element のチェックを外して下さい.参照スペクトルを透過法以外で測った時は,Natural log のチェックを外して下さい.

OK ボタンをクリックすると,データが読み込まれグループリストに追加されます.参照スペクトルはそれぞれのデータの下に置かれます.参照スペクトルは,1点を除いて他のデータと同じです.データと参照スペクトルは «energy shift» パラメータで結びついているので,常に同じエネルギー値を取ります.

この関係は,以下のスクリーンショットで赤丸で囲んだ «energy shift» ボックスの色が変わっていることで視覚的に表現されています.

../_images/import_refimported.png

図 3.13 参照試料と共に読み込まれたデータ

参照スペクトルの «energy shift» の値を変えると,対応するデータの «energy shift» の値も変更されます.(逆も同じです.)参照スペクトルのこの機能は, データ整列 の時にうまく働きます.

時々,このように2つのデータグループを関連付けた方がよいことがあります.これは,関連付けたい2つのデータグループにマークを付けてから, Group ‣ Tie reference channel を選択することでできます.

課題

ATHENA は3つかそれ以上のデータグループを関連付ける機能を持っていません.そのような機能は多素子検出器を使ったデータなどに有用かもしれません.




DEMETER is copyright © 2009-2016 Bruce Ravel – This document is copyright © 2016 Bruce Ravel

This document is licensed under The Creative Commons Attribution-ShareAlike License.

If DEMETER and this document are useful to you, please consider supporting The Creative Commons.