11.1. ファイルのメタデータ

11.1.1. データに関するデータ(メタデータ)を追跡する

バージョン 0.9.21 で追加: ATHENAXAS Data Interchange (XDI) specification を使ったメタデータの読み込みと書き出しをサポートしています.

読み込んだファイルからメタデータが得られる場合は,ATHENA プロジェクトファイルに保存され,ATHENA からのすべての出力ファイルのヘッダーに使われることになります.

ATHENA のメタデータ表示ツールには,3種類の情報が表示されます.XDI の仕様についてのバージョン情報,データ取得および解析ソフトに関するバージョン情報です.

以下には,わかりやすく,意味論に基づいてグループ化されたデータのとして表示されているメタデータのツリーを示しています.これらの項目は,XDI の辞書に定義されたものですが,他はデータの解析を行ったソフトウェアに関するものです.

最後にユーザコメントがあります.これは,ファイルに関連付けられたユーザ向けのどんな情報でも構いませんが,意味論的なグループ分けには適していないものです.

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図 11.2 メタデータ表示ツール

もし,入力ファイルが XDI 形式であった場合,すべてのメタデータとユーザコメントは ATHENA によって保存され,このツールで表示されます.

XDI は新しくできた形式であり,まだ広く受け入れられているわけではないため,ATHENA は入力データファイルを読み込む際にメタデータを認識するためのプラグイン機構を有しています.このパーサーには,ビームライン特有の事柄を含むため,特定のビームラインで書かれたデータに応じて書かれています.ビームラインプラグインの項は,現時点では限られたものです.DEMETER は NSLS のいくつかの XAS ビームライン(NSLS の多くの XAS ビームラインでは,同じデータ取得ソフトが使われています.)のためのプラグインおよび APS のSector 10 のビームラインのためのプラグインとともに提供されています.

上の画像は,NSLS ビームラインのプラグインを例を示しています.データは,NSLS ビームライン X23A2 のものです.メタデータは,データファイルから読み込まれるか,あるいは,DEMETER についてくる放射光施設およびビームラインの小さなメタデータデータベースから読み込まれます.

メタデータ表示ツールには,常に2つのメタデータが表示されます.それは,Element.symbolElement.edge です.これら2つのメタデータは,XDI 仕様で必須要素とされています.周期表には吸収端エネルギーが非常に近い元素がたくさんあります.例えば,Cr K-edge と Ba LI-edge の表になっている値はともに 5989 eV です.吸収元素の吸収端が明確でないと,ある種のデータは,曖昧さをもってしまいます.

ATHENA はすべてのデータに対して,これら2つの情報を決定しようと試みます.このため,この2つの情報は常に表示されます.

11.1.2. メタデータの扱い

このツールは,特にインタラクティブなものではありません.典型的に,メタデータは,データ取得ソフトあるいは解析ソフトによって挿入されるものであって,ユーザが意図的に変更するようなものではありません.唯一の例外は,ユーザコメントです.ATHENA では,これはふつうのテキストエリアであって,好きなように書き込むことができます.この内容は,Save comments ボタンをクリックすることで保存されます.

11.1.3. ビームラインプラグイン

ビームラインプラグインがそのように書かれている限り,メタデータはどんなデータファイルからでも抽出することができます.プラグインは,DEMETER をインストールした Plugins/Beamlines/ フォルダに .pm ファイルとして含まれています.これは以下のことを行うちょっとした perl のコードです.

  1. そのデータがどのビームラインで測定されたものかを認識します.すべてのビームラインプラグインに対して,読み込もうとするすべてのファイルがチェックされるため,速度が重要です.もしビームラインプラグインが遅ければ ATHENA やその他のアプリケーションに影響が出てしまうでしょう.

  2. ファイルヘッダーから意味論的な内容を認識します.可能であれば,この内容をXDI ヘッダーで定義された形でアサインします.他の意味のある内容は,拡張ヘッダーに保存されます.上の例では, XDAC データ取得プログラムからのデータのメタデータは XDAC グループとして記録され,他のメタデータは,XDI 仕様で定義されたところに記録されます.

  3. データ取得ソフトのバージョン情報を XDI extra_version 要素に加えます.上の例では,データファイルは,XDAC のバージョン 1.4 で取得されました.よって,“XDAC/1.4” という文字列が記録されます.

DEMETER は,特定のビームラインに関するメタデータの小さなデータベースをもっています.これは,DEMETER をインストールした share/xdi/ フォルダにあります.このフォルダにあるファイルは,短い .ini ファイルであって,施設やビームラインに関する共通の情報を含んでいます.上で示されたたくさんのメタデータは,実際のところ,NSLS ビームライン X23A2 に関する .ini ファイルから来ています.

ATHENA のここに新しいビームラインを追加するには,プラグインと対応する .ini ファイルを書く必要があります.




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