近畿大学応用元素化学研究室

研究内容

研究内容

元素の本質的特性に基づく物質創製と物質変換
—配位子の精密設計と汎用元素の活用を鍵とする新物質科学—

 21世紀において、マテリアルサイエンスは化学と一体となった大変価値の高い研究領域になると考えられます。特に、化石燃料や希少元素などの天然資源に乏しい我が国では、新しい科学と技術の創成が不可欠であり、化学は物質科学や材料科学の基礎として極めて重要です。持続可能な地球社会を実現する上で、元素の持つ本質的特性を深く理解し、様々な機能性物質・未来材料を開発することができれば、資源、環境、エネルギー問題に有効な解決策を与えることが可能になります。また、物質や材料の化学構造を決定し、元素の持つ特性を巧く引き出す上で、配位子や置換基の役割は極めて重要です。
 応用元素化学研究室では、自然界に存在する様々な元素を活用し、独創的な配位子デザインに基づいて、優れた物性や機能を発揮する典型元素化合物や遷移金属錯体の創出、実現困難な分子変換反応の開発など、元素化学の新領域の開拓を目指します。具体的には、ケイ素やホウ素、リンなどの典型元素化合物の合成と機能開発、鉄やコバルトなどの磁性錯体の設計と合成、遷移金属錯体を用いた水素分子や窒素分子、一酸化炭素、二酸化炭素などの小分子の活性化について研究しています。

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 あなたの好きな元素は何ですか? 元素の個性を活かして、新しい結合、新しい分子、新しい物質、新しい反応をつくろう。応用元素化学研究室はチャレンジします。「今を大切に、そして、楽しく」元素の秘密を解き明かそう。

研究室の特徴

 松尾・太田研究室では、有機化学と無機化学の垣根を超えた「元素化学」に取り組んでいます。研究分野としては、有機典型元素化学、有機金属化学、錯体化学、生物無機化学、触媒化学、高分子科学など、多岐にわたっています。1つの研究室でありながら、Heterogeneousな研究環境であり、学生や院生は、それぞれが独立した個別の研究テーマに責任感をもって取り組みながらも、互いに互いの研究テーマをリスペクトして刺激し合うことで、自分の研究テーマだけでは得ることのできない多くの知識や技術、経験を共有することができます。
 松尾・太田研究室には、新しい化合物をつくるために必要なガラス器具や実験装置、有機溶媒精製装置やグローブボックスが備わっています。ディスカッションに基づいて自ら実験計画を立案し、主体的に研究に取り組みます。基本的な有機化合物の合成法から、空気や湿気に不安定な最先端の元素化合物の取り扱い方まで、幅広い合成化学実験を通して高度な合成技術を身につけ、観察力や洞察力、問題解決力などを養成します。
 自分で合成した化合物の同定や反応解析のための分析機器は、近畿大学共同利用センターや応用化学科の共同測定室に設置されています。主な使用機器は、核磁気共鳴分光装置、X線結晶構造解析装置、質量分析装置、量子収率測定装置、蛍光分光光度計、紫外可視近赤外分光光度計、赤外分光光度計です。また、研究室には、電気化学アナライザー、ゲルろ過クロマトグラフィー、中圧分取クロマトグラフ、ガスクロマトグラフィー、融点測定装置などもあります。これらの分析機器類の操作法や測定技術を習得し、データ解析やスペクトル解読力を養成します。研究者や技術者としてグローバルに活躍する人材を育てます。
 国内外の研究者や専門家と共同研究する機会があるのも特徴です。これまでの主な共同研究先は、阿南工業高等専門学校、イスラエル工科大学、ウィスコンシン大学(アメリカ)、大阪公立大学(大阪府立大学)、九州大学、京都大学、グアダラハラ大学(メキシコ)、慶応義塾大学、佐賀大学、埼玉大学、電気通信大学、東京工業大学、東京大学、東京理科大学、東北大学、豊田中央研究所、長岡科学技術大学、名古屋大学、奈良先端科学技術大学院大学、ポールサバティエ大学(フランス)、ヨーク大学(カナダ)、理化学研究所、早稲田大学(五十音順)です。大学院生は共同研究先で研修する機会もあります。学会や国際会議にも積極的に参加し、研究交流によって世界とのつながりを深めていきます。

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