再生可能エネルギーは、CO₂排出量の削減やカーボンニュートラル社会の実現に向けて期待されています。しかし、太陽光や風力などの発電は天候に左右されやすく、
また、都市部から離れた地域で行われることが多いため、安定利用にはエネルギーを貯めて運ぶしくみが必要です。その方法の一つとして、再生可能エネルギーで水素をつくり、
エネルギー源として使う技術が注目されています。しかし水素は非常に軽く、液化や高圧圧縮に大きなエネルギーが必要で、安全面にも課題があります。そこで、水素を別の物質
(水素キャリア)に変えて運ぶ方法が提案されており、代表的な水素キャリアとしてアンモニアや有機ハイドライドが知られています。
当研究室では、特にアンモニアに注目し、その合成反応や分解からの水素製造を助ける触媒の開発・研究を進めています。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、水素は新たなエネルギー媒体として大きな注目を集めています。
水素は再生可能エネルギーを利用した水の電気分解によって製造可能であり、また水素を燃料とした発電システムである燃料電池はすでに商品化されています。
このように、水電解装置や燃料電池は、水素を基盤とした社会において、化学エネルギーと電力を相互に変換できる電気化学デバイスとして重要な役割を担います。
現在、これらの電気化学デバイスの作動温度は、主に室温〜200 °Cおよび600〜1000 °Cの範囲に限られています。これは、200〜600 °Cの中温度域において、
十分なプロトン伝導度または酸化物イオン伝導度(およそ10⁻² S cm⁻¹)を示し、かつ高い安定性を有する材料が存在しないためです。
また、この温度域では多様な化学反応が進行することから、ここで作動可能な電気化学デバイスの開発は応用範囲の拡大に直結します。
さらに、温度制御の容易さや構成材料の選択自由度の高さなど、多くの利点も有します。