研究内容

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研究テーマ

3.機能性色素の開発

3-1.結晶多形(ポリモルフィズム)特製を有する多機能性色素の開発

機能性色素として、ナフトキノン骨格を有するチオエーテル化合物2-methyl-3-(2-naphthalenylthio)-1,4-naphthalenedione (1)の開発に成功した。この化合物1をヘキサンあるいはジクロロメタン溶媒から結晶化を行ったところ、それぞれ橙色結晶(IA)、濃紺色結晶(IB)と、色調の異なる結晶が得られた。興味深い事に、X線結晶構造解析を行った結果、結晶IAは空間群がCcとアキラル結晶であったのに対し、結晶IBは、アキラルな化合物にもかかわらず空間群がP21とキラルな結晶を構築していた。さらに、溶融結晶化法を試みたところ、茶色結晶(IC)を得ることに成功した。すなわち、結晶化溶媒を変えることにより、結晶色を変化させ、結晶のキラリティーを発現させることに成功した。

3-2.サーモクロミズム特製を有する機能性超分子錯体の開発

電子ドナー分子とアクセプター分子から構成される電荷移動(CT)錯体は、特徴的な着色(電荷移動スペクトル)を有しているが、その着色は、異種構成分子が同じ場合、電子ドナー-アクセプター間距離に依存する。そこで、外部刺激により、ドナー-アクセプター間距離を変化させることができれば、外部刺激に応じて錯体色が可逆的に変化し、センシング材料としての利用が可能であると考えられる。電子ドナー分子としてrac-1,1'-bi-2-naphtho1 (rac-1)、電子アクセプター分子としてMethylviologen (MVCl2)を組み合わせることにより、赤色のCT錯体を得ることに成功した。外部刺激として、「温度」を用いたところ、室温(298 K)と80 K間で、紅色から薄赤色へと可逆的な錯体色の変化及び拡散反射 (DRS)スペクトルの変化を示した。X線結晶構造解析より、本機構が、ドナー-アクセプター間距離の変化に基づくことを見出した。