研究内容

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研究テーマ

2.外部刺激応答特性を有する機能性材料の開発

2-1.蛍光可変型ゲスト分子認識能を有する超分子有機発光体の創生

光学活性分子として(1R,2S)-2-amino-1,2-diphenylethanolを、発光性分子として1-pyrenecarboxylic acidを用いることにより、固体状態において、ゲスト分子包接特性と固体発光特性を有する新奇なホスト錯体の開発に成功したゲストMeOH包接錯体I, ゲストn-BuOH包接錯体IIを得た。錯体I,IIの固体蛍光スペクトルは、ゲスト分子に応じて違いが見られた。結晶構造解析の結果、ゲスト分子に応じて分子配列構造に大きな違いが見られた。錯体Iは、隣り合った21-ヘリカルカラムのピレン環の間に割り込む形でゲストMeOH分子を包接しているのに対し、錯体IIではピレン環同士の間に割り込むことなくn-BuOHを包接していた。この様に、ゲスト分子の大きさに応じて、21-ヘリカルカラムのパッキング構造を変化させ、それに応じて、発光特性が変化する超分子ホスト発光体の創製に成功した。

2-2.蛍光可変型ゲスト吸脱着特性を有する超分子有機発光体の創生

光学活性アミン分子として(1R,2S)-2-amino-1,2-diphenylethanolを、発光性分子として2-anthracenecarboxylic acidを用いることにより、光学活性超分子ホスト発光体の開発に成功した。このホスト発光体の固体状態蛍光スペクトルを測定したところ、極大蛍光波長は、包接するゲスト分子に応じて異なっていた。さらに、本系も1次元的なカラム構造を形成しており、カラム間に形成されたチャンネル型空孔内にゲスト分子を包接していた。興味深いことに、ゲスト分子の可逆的な吸脱着に応じて、蛍光波長の変化が観測された。

2-3.色調可変型ゲスト分子認識能を有する電荷移動(CT)ホスト錯体の開発

電子ドナー分子として3,3'-位にヒドロキシル基を有するrac-1,1'-bi-2-naphthol誘導体とBenzylviologen (BVCl2)を組み合わせることにより、1次元チャンネル型空孔を有する電荷移動(CT)錯体の生成に成功した。ゲスト分子は、この空孔内に1次元的に包接されていた。興味深いことに、ゲスト分子の吸脱着に応じて、錯体の色調に変化が見られた。